【エッセイ Essay】モダンバレエって?②

2019.10.23

さて、本題です!

モダンバレエって?

私はざっくりと説明するとき、クラシックバレエはクラシック音楽に合わせて踊り、モダンバレエはクラシック音楽だけでなく様々なジャンルの音楽に合わせて踊ります、などと話したりもします。
でも必ずしもそうであるわけではないのと、もともとどのようにモダンバレエが生まれたか、を知ることでより深く理解して頂けると思うので、ここから少し詳しく説明していきます。

前の記事で、最近はメジャーなジャンルのダンスの型から外れた踊りが増えてきた、というお話をしました。
モダンバレエはストリートダンスが出てくるさらに昔、100年位前に、クラシックバレエという誰もが知っているジャンルの踊りの型から外れて、より自由な動きで表現したいという人々によって出来た踊りです。
モダンバレエ以外にも、バレエから派生してできた踊りの代表的なものに、モダンダンス、コンテンポラリーダンスなどもあります。

2016年にぴあ株式会社さんから発売された、”ぴあMOOK ぴあBALLET バレエワンダーランド”にすごくわかりやすくそれぞれの踊りの違いが紹介されていたので少し抜粋させていただきます。

クラシックバレエ:手足の動きやダンス時の姿勢など、踊りの型がしっかりと決まっている古典バレエ。物語に関係なく個性の強いキャラクターダンスや民族舞踊を取り入れた見せ場をつくり、ダンステクニックが際立つよう構成された作品が多い。

モダンバレエ:クラシックバレエでよく見られた物語と関係ない群舞や舞踊を取り払い、より物語の内容に重点を置いたバレエ。

モダンダンス:クラシックバレエの決まりきった型を取り払った舞踊。手足の動きや体の向き、踊りのテクニックも非常に自由で、バレエでは見られない動きやポーズが多用される。

コンテンポラリーダンス:バレエ・民族舞踊・ジャズダンスなど、様々な舞踊が入り混じった既成のジャンルにとらわれない現代舞踊。

少しかみ砕いて説明すると、しっかりと決まった踊りの型と物語の中で、その踊りをいかに美しく魅せるか、ということに重点を置くクラシックバレエ。
そのバレエのテクニックを使って作品の内容により重点を置き、そのテーマについて深く掘り下げるようにもなったモダンバレエ。
内容だけでなく、バレエの決まった手足の動きや体の向きなどの形を取り払って、より自由な形式で踊るようになったモダンダンス。
バレエだけでなく様々な踊りの要素を取り入れ、もっと何でもありな形の踊りを実現したコンテンポラリーダンス。
というような感じでしょうか?

ただ、モダンバレエの中でもバレエのテクニックにはない動きをすることもあれば、コンテンポラリーダンスとモダンダンスは始まった経緯は違いますが、観る人からすれば何が違うのかわからないことがほとんどだと思います。実際に、モダンバレエ・モダンダンス・コンテンポラリーダンスを同じものだととらえている人もいますし、これはコンテンポラリーダンスなのかモダンダンスなのか、モダンバレエなのかモダンダンスなのか、はっきりと定義できないこともあります。いろいろな人が、バレエをベースに様々な踊りの形で作品を作っていった結果、今やその差はとても曖昧になっています。踊る人、踊りをつくる人がこれは○○ダンスです!と言ったら、その踊りなのです。あとは観る人が客観的に判断します。

国によって考え方が違うこともあります。

例えば身近なところから言えば、オーストラリアではコンテンポラリーダンスのクラスはいくらでも見かけましたが、モダンダンスやモダンバレエはほとんど目にしませんでした。おそらくオーストラリアではモダンダンス=コンテンポラリーダンス、モダンバレエについては、クラシックバレエとひとくくりにバレエと定義されているのだと思いました。Two Shoesメルボルン本校でもそうですが、オーストラリアではクラシックバレエの中ですでにモダンな音楽を使って踊ることも一般的になっているようで、わざわざモダンと言う必要がないのかもしれません。

あとは、日本ではあまりメジャーではありませんが、リリカルという踊りも海外では人気です。リリカルは”叙情的な”という意味なのですが、コンテンポラリーダンスとすごくよく似ています。ただ、コンテンポラリーダンスよりも音楽に込められた思いを大事にし、それをくみ取り、その感情を音楽の雰囲気にのせて流れるように踊るというような気質があります。私もオーストラリアでリリカルが大好きになり、その頃は大好きなリリカルの先生のレッスンをほぼ毎週受けに行っていました。

クラシックバレエでも、誰もが知っている白鳥の湖やくるみ割り人形などの古典作品だけでなく、最近は不思議の国のアリスのような新しくてポップな題材を扱ったり、クラシックバレエダンサーによるコンテンポラリーダンスはごく一般的なもので、もうすでにクラシックバレエとの境界線も薄くなってきているのかもしれないと感じます。

これらのバレエから派生してできた踊り、特にモダンバレエやモダンダンスは、ストリートダンスが生まれるもっと前に始まったため、一つの決まったダンスを多様化した最初の先駆者ともいえるかもしれません。一番古い古典バレエに始まり、そこから生まれたモダン系の踊り、そしてそのあとに出てきた比較的新しいストリートダンスやコンテンポラリーダンスから、またさらにどんどん枠を超えて出来てきた数々の踊り。 踊りの世界がクリエイティブすぎて、それに対する言葉の定義が追い付いていないようです。というよりも、踊りは言葉で定義しきれない世界なのかもしれません。
踊りは踊って、みて、感じるもの。
これからもどんどんダンス・バレエ界は様々に変化していくんだと思います。

そんな中でも、モダンバレエを始め、バレエから派生した踊りは、言葉では表せないものを、踊りでさらに深く表現するために生まれてきたものばかりだと思います。 その人の感性や表現力がより問われる踊り。モダンバレエをみて、バレエってこんな形もあるんだね!と、たくさんの人に知ってもらいたいです。Two Shoesでは、踊りの技術はもちろんですが、子供達それぞれの個性や感性を出来るだけたくさん引き出し、踊りを通して、それぞれが自分らしく、胸を張って生きていけるように、指導していきたいと思っています。
いつかは、モダンバレエってなに?と聞かれなくなるくらい、モダンバレエの良さが広まるといいな、と願って❤