コロナウイルスがまた猛威をふるい始めています。
メルボルンでは、6月22日にスタジオレッスンを再開出来たにも関わらず、数日後再びロックダウンとなってしまいました。現在もTwo Shoesメルボルン本校では、スタジオでのレッスンはお預けとなり、子供達は今もお家でのオンラインレッスンに励んでいます。
季節が真逆のオーストラリア。寒さとコロナウイルスに負けず、元気に頑張って欲しいと願うとともに、私達が今はスタジオに集まってレッスンできているということに心から感謝です。
あと約3週間後には延期になっていた発表会の日をついに迎えますが
一旦ここで、このコラボ企画を通して私が一番強く感じたことを、記録として残しておきたいと思います。
発表会が終わったときにも、自粛期間で感じたこと、そして学んだことを忘れずに、また思い出せるように!!
3週間のプログラムが終わったあと、みんなのクラスを受け持ってくれていた先生の一人にこう言われました。
“Your students are so diciplined.”
(日本の生徒達は本当によくしつけられているね。)
はじめ私は、これを褒め言葉として受け取っていいのか、わかりませんでした。
先生曰く、日本の生徒はよくしつけられているから、吸収するのも早いし成長するのもはやい、一方でオーストラリアの生徒は集中力が切れるのがとても早く、みんな自由だから先生としてはとても大変、ということでした。
それでもその先生は、そんな自由な生徒達とその自由な雰囲気を常に楽しみながら、レッスンをしているようにみえました。
それを聞いて、なるほどな、と思ったと同時に、私は少しドキッとしました。
私は生徒達を、真面目に言うことを聞いて、その通りにやるように、押し付けてきてしまったのではないかと心配になりました。
確かに、日本の子供達は他のオーストラリアの生徒達よりもレッスンに集中出来ていたし、画面から消えていなくなることも少ないし、(笑)、いつも真剣に取り組む事ができていたと感じます。
日本ではそんなこと当たり前のこと、と思われるかもしれませんが、世界基準でみればそれは結構すごいことかもしれません。(少なくともオーストラリアの子供達と比べると。)
人のいうことを素直に聞いて、何事にも一生懸命取り組めるということは、褒められるべきことです。
先生側としても、そういう生徒が多いととても楽です。
しかし、コラボレッスンの中で、多くの日本の生徒達が苦手とする部分が浮き彫りになりました。特に上級生が苦労していたことです。
それは、自分の意見を言うこと、自分で考えて動くこと。
確かに、これはあまり私が生徒達とやってこなかったことかもしれないと、気付かされました。
これまでも、Two Shoesのレッスンは、子供達が思ったことや意見を言いやすい環境であって欲しいと思っていましたし、それぞれが自由に居心地のいい雰囲気でダンスを楽しんでもらえるように努めてはいましたが、オーストラリアの生徒達はある意味格が違いました。
先生から質問はありますか?と聞かれると、必ず誰かは手を上げて質問をしたり意見を言うし、途中でわからないことがあれば遠慮することなく何でも手を上げて先生に訴えます。
悲しい顔をして手をあげたかと思えば、ルルベ(背伸びの状態になること)でとまることが出来ないと言って泣き出してしまったり、手先の動きや細かい足のステップがわからなければ、その場で聞いて、納得するまで何度も質問をします。
日本の生徒は、言語の問題やいつもと違う先生ということで余計話しづらい部分もあったかと思いますが、私が日本語で問いかけても中々質問したり意見を言う場面は見られませんでした。
本当に質問がなかったのか、何を質問したいいのか分からなかったのか、言いたいことがあったけれど遠慮して聞けなかったのか。。
いずれにしても、今までのレッスンでそういう場面を私が作れていなかったのだな、と後で反省しました。
極めつけは、上級生クラスでたくさん登場した、Improvisation Game(即興ダンスゲーム)でした。
先生やペアになったお友達が決めた題材に沿って、自分で振り付けを考えて、その場で音楽を感じながら即興で踊る、というものです。
何も考えずに自然と体が動くオーストラリアの生徒達と対照に、日本人の子供達はどうしていいか分からず、画面の前で自由に動くオーストラリアの生徒をただみていたり、突っ立っていたり、、(笑)先生達に、”Come on Japanese girls!!” と言われていました。(笑)
しかしこれは実は、私がオーストラリアでレッスンを受けていた頃に、あー苦手だなー、と感じたことと同じでした。
コンテンポラリーやリリカルのクラスの中で、先生の振付の中に突然、ここは自分で好きなように踊ってね、『DO whatever you want to』といわれる部分がたくさん出てきました。
ストリートダンスの世界では、即興ダンスバトルなどを行うことも多いため、割と当たり前にあることなのですが、バレエ出身の私にとっては本当に一番難しいことでした。
先生決めてよ〜と思っていました。
今もそれを克服したかといわれると、どうなのか、、、
ストリートダンスをやっている子供達は別として、日本人の子供達はこのImprovisation Gameのように、自分で考えて動くということがとても苦手な場合が多いと思います。
だからこそ、私が大きくなってからぶち当たった壁に今ぶちあったった若いみんなに、是非この機会に克服して欲しかったです。
土曜日のフォローアップのクラスで、日本人の生徒だけでImprovisation Gameをやってみたり、オーストラリアの生徒が動く様子をみたりして、何度か繰り返すうちに、最後はみんな、前よりも音楽を感じながら自由に動くことが出来るようになりました。
メルボルンのダンスクラスに子供達と参加させていただいて、私は日本とオーストラリアの教育方法の違いを目の当たりにしました。
頭ではなんとなくわかっていたことですし、私もメルボルンにいた頃多くの子供達に出会い知っていたつもりでしたが、3週間みっちり実際にクラスに参加させていただいて、心からそう思いました。
さらに、コラボ企画に参加してくださった生徒のお母様からはこのようなお話をお伺いしました。
海外のサッカーチームでは、練習メニューをコーチではなく、選手達が自分で決めることもあるのだそうです。そうやって普段から自分達で考える訓練を行うことで、試合のときにも、今何をするのがベストなのか、自分たちで答えを導き出すための判断力を磨くのだそうです。
多くの日本人の持つ、先生の言うことを聞いて、ちゃんと吸収して、着実に成長できる力、コツコツ努力できる誠実さは、何にも変えられない日本の教育のとても良いところです。
でも、その人に向けられる全ての言葉が、その人に当てはまるという訳ではありません。
本当は違うのに、他人の意見が自分の意見になってしまうことで、本当の自分の意見が何かわからなくなってしまったり、自分で決めたことに自信が持てなかったりします。
オーストラリアの生徒達は、性格は恥ずかしがり屋の子でも、自分の意見は持っていて、意見を求められればすぐに答える事ができます。時々、みんなの主張が激しく、自由すぎてレッスンが中々進まないこともあったので、行き過ぎもよくありませんが、(笑)それでもなんだか子供達がみんなのびのびとしていて、素敵だな、と思いました。
ただ、どちらの教育方法にも、長所と短所があるので、一概にどちらがいい、というふうには言えません。
日本の子供達は、日本の教育のいいところを大切にしながらも、オーストラリアの子供達のように、吸収したことを自分で噛み砕いて、自分で考えて、自分の言葉や表現で外に向けて発信することができたら、もっとパワーアップ出来るのではないかと思いました。
最近は小学校でもアクティブラーニングが導入されて、どんどんそういう方向に進んでいってくれるといいな、と願います。
小さなダンススクールで出来ることは限られているかもしれませんが、Two Shoes では、オーストラリアと教育に関してお互いのいいところを共有しつつ、子供達それぞれと向き合って、みんなの個性を輝かせられる場所でありたいな、と願います。
みんなが私の言うことをうんうん、と全部聞いてくれたら、私はとても楽です。
反対に、みんなの個性が爆発すると、それを収集させ、まとめあげるのは中々大変です。
だけど、それこそが私達の役割なのかな、と感じます。
我慢強さはもちろん必要ですが、私達大人が楽をするために子供達が我慢することになってしまったら、その子の大事な個性を潰してしまうことになってしまうこともあります。
オーストラリアの先生達からは、生徒がどんなに自由奔放でも、それにひたすら付き合っていくスタンス、という印象を受けました。
子供達が意見を言いやすい環境を整え、子供達の声を聞いて、どうやったら上手くいくか、子供達と一緒に考えて、一緒に試行錯誤することで、子供達の自分で考えて動く力を伸ばしていきたいと思いました。
やはり、
インプット + アウトプット
が大事ですね!
そうやって、いい刺激の中みんなで高めあっていける場所でありたいな、と思います。
そんな大きな発見があって、いろいろなことに気付かされた自粛期間でした。
自粛明け初レッスンの日の夕日で終わりにしたいと思います。
発表会、出来ますように!!